震災原発事故報道検証のこころみ、および調査資料の先行公表について

 放送大学情報化社会研究会では、機関誌『情報化社会・メディア研究』を年1回発行し、これに関連した公開シンポジウムを不定期に開催してきました。

 2011年3月11日の東日本大震災の発災を受けて、さまざまなメディアや研究者が、その後に発生した深刻な福島第一原発の事故を含む「大災害報道」への取り組みを進めている中で、当研究会も2012年春から、独自の視点で調査研究に取り組んできました。

 現在、『情報化社会・メディア研究』第9巻(2013年春発行予定)への掲載を目指して、米軍の日刊準機関紙である『星条旗新聞』(Stars and Stripes)の太平洋地域版が、発災以降、特に原発事故による放射能汚染の状況や、おもに日本に駐留する米軍関係者とその家族の避難・安全に関して、どのような報道をしていたかを検証する企画を進めています。

 発災以降の国内の新聞メディアの報道内容については、これまでにも多数の検証が行われ、書籍の形で発表されています。また、放送メディアに関する検証についても、日本大学新聞学研究所を中心とした取り組みが進められています。こうした中で、当研究会はこれまでに検証対象となっていないStars & Stripes 紙に着目して、日本を主な配布地域とする太平洋地域版の記事内容を検証・分析し、『情報化社会・メディア研究』誌上で公表いたします。これが多くの研究者や読者への情報提供の一助になることを願っています。これまでの分析でも、日本のマスメディアが伝えなかった事実、あるいは早い時期での避難勧告など、独自の情報伝達が行われていたことが明らかになっています。

 すでに多くの記事内容の検証が終わっていますが、構築しているデータ量が膨大なために、フルテキストでの誌上発表は難しい状況です。しかし、それらのデータを公表すれば、研究者および関心を持たれている方々が記事インデックスとして利用することが可能になると考えられます。今後、機関誌で成果を公表するStars & Stripes 紙の「検証プロジェクト」についてのアナウンスも兼ねて、検証の基となったデータを先行して本ホームページ上で公表いたします。

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